兎年の大晦日は、歌に始まり歌に終わりました。
午前中はゆっくりと「スペイン黄金時代の音楽 ~ビクトリア没後400年~」と題されたバロック音楽以前、クラシック音楽がまだ《歌》だけの音楽だった頃のシンプルで、技巧や、ギミックの無い音楽。演出や駆け引き、仕掛けも聴かない人の声と単純な音階だけで聴かせる音楽をビクトリアは究極に洗練させた音楽家。そして、大概門外不出の音楽となっていた時代に楽譜を公開して自分の音楽の極みを広めた。

おでんのおいしさの秘伝を問われるままに教えるようなものか。モーツァルトやベートーヴェン、ブラームスと言ったクラシック音楽だけで、バロック音楽以前のクラシック音楽=ルネサンスから前期バロック音楽は未踏の音楽ファンには《合唱》のコラールが単純な構造であるのを分かっていれば、イメージし易いでしょうし、ルネサンスが手つかずならビクトリアからが入りやすいでしょう。




おでんが、どんなに秘伝を知らしめたところで素材の選び方、素材の切り方、素材の処理が味わいの本当のおでんの神髄であるように、ビクトリアの録音は演奏者が違うだけで印象が違います。楽器は演奏者が違おうとも普段は意識の外にあるものですが歌手の声、もっとくだけた例えなら、アニメの声が変わっただけで好みが分かれやすいように、歌声だけのビクトリア時代の音楽は手にしたCDで終わりになりません。綺麗な音楽だと、気になったならば違う演奏家、同じ演奏団体のでもメンバーが替わっている時には、それも聴いてみましょう。演奏解釈は変わっていなくても、そちらの声のバランスが好きになれることだってありますからね。
※補足を必要とするところはコメントで対応します。

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