筍御飯と白身魚の黒酢あんかけをお昼に食べました。春の味覚、わたしはこの組み合わせが大好きです。この時期はオーディオに易しく、音楽がいつも以上に伸びやかに響く季節。良い音色に触れるには良いと思います。中でもシューベルトの室内楽は生き生きと躍動することでしょう。
『音の万華鏡』に例えられるのがピアノ・トリオ。ピアノ、ヴァイオリン、チェロの3つの楽器がクラシックでのピアノ・トリオ。ジャズであれば、チェロの代わりがベース、そしてドラムスかギターといった編成になるでしょうか。ピアノも、ヴァイオリンも、チェロも、それぞれがフロントで注目を受けるパフォーマンスをする“立ち役”。“さぁ、お次どうぞ”、“ここはわたしが引き受けた”と、協奏曲での丁々発止とは又違ったやりとりが面白い。ソロであれば個性を強調するわけですが、そんな三者がお互いを引き立てる役回りも必要となる《ピアノ三重奏曲》は噛みしめれば、噛みしめるほど、味が染みればより美味しく楽しめるものです。この味の馴染みが常設の三重奏団や、四重奏団の楽しみ。

今夜、くまもと森都心プラザホールでピアノ・トリオの演奏会があります。

マーティン・ヘルムヘン(ピアノ)、ヴェロニカ・エーベルレ(ヴァイオリン)、石坂団十郎(チェロ)
ドイツを拠点に活躍する3人の若きスターによるピアノ・トリオ。

それぞれに10年以上の活動歴を持ち、CDでもいろいろと聴けます。今回このトリオで聴かせてくれるのは、モーツァルト、ブラームス、シューベルトの二重奏、三重奏で寛いだ気持ちになれるプログラム。

音色の馴染んだトリオの演奏で心地よさに導かれるのも良いものですが、春先のフレッシュな味わいを今夜は楽しめることでしょう。

筍はあくを抜くのがまず、一仕事。すぐに料理に使える様になっている食材もありますけれども、えぐみが良いものです。

ヴァイオリンとチェロは、有名なストラディヴァリウス。3日の春の嵐は、楽器に影響するのではないかと心配でしたが4日、天気も良く晴れ、楽器の生まれた土地を思わせる程良さではないでしょうか。

オーディオで音が団子になっている、との言い回しがあります。真空管アンプでレコードを聴いていると、最初は平板で団子に聴こえていたのが馴染んだ瞬間にパッと音色が格段も輝き出す。
クラシックのオーケストラはたくさんの楽器の音があって、みんな一生懸命なのは分かるけれども何が起こっているのか良くわからない。と言うのが、クラシック音楽の最初のゲートでしょう。この、それぞれの楽器の音色が聴き分けられてくるとオーケストラ音楽が楽しくなってくるものです。
料理で食材屋味付けの違いを分かってくると楽しい様なもの。筍御飯は、食材はシンプルですが筍のおいしさ、味付けの奥深さは良い出会いがあって好きになっていくものでしょう。謂わば大人の味として、美味しいとは良くわからないけれども、食通が絶賛するから美味しいのかな、そう思っているものでしょう。経験を重ねていくことでもあるけれども、アプローチが受け入れやすいってタイミングもある。

ピアノ・トリオの常設アンサンブルは限られているし、季節料理を楽しむ風情が強いクラシック音楽です。今夜の3人、ヘルムヘン、エーベルレ、石坂さんはベートーヴェンのトリプル・コンチェルトを先で演奏することがスケジュールとしてあり、せっかくなのだからお互いの演奏を馴染ませていく為にと“トリオ”での演奏ツアーを、と言う運びになったと聞いています。
今日だから、思いがけずに出せたという味を楽しませて貰えるかも知れません。

ピアノトリオは“音の万華鏡”のようなものです。それぞれたくさんの色を持つ3つの形のかけらが絡み合い、映し合い、次々に新しい姿を見せます。

ゴージャスな音の競演をどうかお楽しみください。

 

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